うしおうしお

こんにちは、夫婦で起業して6年目のうしおです。

これから初めての起業を考えている場合、まず気になることのひとつが、「個人事業主と法人、どちらで起業するのか?」ということではないでしょうか。

せっかくなら、事業を進めていく上で、最終的に得するほうに決めたいですよね。

今回の記事では、個人事業主と法人について、メリット・デメリットを考えながら比較してみました。

  • そもそも個人事業主と法人の違いを知りたい
  • 個人事業主にするか、法人として会社を設立するか迷っている
  • 現在個人事業主だけど、そろそろ法人化しようかなと思っている

    という人はぜひ読んでみてください。

    僕らも個人事業主として起業して6年です。

    で、先日とうとう法人化(法人成り)しました。

    ただ結論から言ってしまえば、最初は個人や夫婦で小さくビジネスを始めるのが良いんじゃないかと思っています。

    では、その理由を詳しくお話していきます!

    どっちが良い?個人事業主と法人それぞれの違いとは?

    ひよこひよこ

    今回は個人事業主か法人か、起業するならどっちがいいのか?という、わりと基本的なお話だね。

    うしおうしお

    僕らはすでに個人事業主として事業をしてきているけど、「そろそろ法人にしようかな?」と本格的に考えているところでしょ?(今は法人化しました)
    なので、このテーマは今の僕らにとっても重要なテーマなんだよね。

    起業というと、会社を作る!というイメージを持っている人もいるかもしれませんが、実は2つの選択肢があります。

    • 個人事業主(いわゆるフリーランスとして事業を始める)
    • 法人(会社を設立して事業を始める)

    では、これから起業して事業を始めるならどっちがいいのか迷うところですが、それを検討する前に、そもそも個人事業主と法人の違いを整理しておきたいですよね。

    この記事では、

    1. 開業のしやすさ
    2. 税金面
    3. 信用面
    4. 責任の範囲

    この4つのポイントから、個人事業主と法人を比較していきます。

    1.開業のしやすさはどっちが簡単?

    2. 2人で仕事の成果や喜びを共有できる

    個人事業主の開業

    個人事業主と法人、どちらが簡単に開業できるかというと、圧倒的に個人事業主です。

    必要な手続きは、開業届と青色申告届(青色申告承認申請書)を税務署に出すだけです。

    個人事業主であっても、開業届の提出は義務です。

    開業届は、法律では業務開始の事実があってから1ヶ月以内に提出しなければならないことが定められています(所得税法229条)。

    ただし、提出をしなかったり、提出が遅れたりした場合の罰則などは特にないため、未提出のままの個人事業主も結構いるようです。

    つまり、実質的には、個人事業主は「フリーランスになろう!」「個人事業主として事業をやっていこう!」と思ったら、すぐに仕事をスタートできてしまうんですね。

    でも、提出しなくても確定申告を行えば、事業をしていることは税務署に伝わります。

    臨時収入的な副業などではなく、継続してがっつりと事業を行っていくつもりなら、開業届は出しておくほうがよいです。

    ちなみに、開業からかなりの年数が過ぎても、税務署に怒られることなどはありませんので、必ず出しておきましょう。

    ひよこひよこ

    ちなみに、開業届を出すメリットって何かあるの?

    開業届を提出するメリットは以下のようなものがあります。

    1. 青色申告ができる
    2. 正式な開業日がわかる
    3. 屋号を持てる
    4. 融資・給付金などを申請できる
    5. 気合が入る

    1.青色申告ができる

    サラリーマンの副業などなら白色申告で確定申告をすることになりますが、個人で事業を営んでいる場合は、白色よりも青色申告にしたほうが大幅に節税できます

    特に青色申告では、起業直後の赤字も繰り越せるのは大きなメリットです。

    また「青色事業専従者に関する届出書」を出せば、事業を手伝ってくれる家族への給与を全額経費にできたりもします。

    青色申告で確定申告をしたい場合は、所定の期日までに「青色申告承認申請書」を提出しておく必要があります。

    この申請書は開業から2ヶ月以内に税務署に提出すべきものとなっているので、開業届と同時に提出してしまう人がほとんどです。

    なお、開業届を出さずに白色申告していた人が、途中から青色申告に切り替えたい場合は、開業届と青色申告承認申請書を改めて提出すれば大丈夫です。

    2.正式な開業日がわかる

    個人事業主は、シンプルに言ってしまえば、仕事を受注、納品し、代金を支払ってもらえればそれで成り立ちます。

    なので、何となく仕事を受けて一生懸命こなしているうちに、ある意味なしくずし的に個人事業主になっている場合も少なくありません。

    そういう場合も開業届を出していれば、記入された日付が正式な開業日の証明となります。

    3.屋号を持てる

    個人事業主の場合は、開業届に必ずしも屋号を書く必要はありません。

    でも、開業届に屋号を記入し、その控えを銀行に持っていけば、屋号つきの口座が作れます

    つまり、「この屋号で事業をしています」という証明になるのですね。

    4.融資・給付金などを申請できる

    銀行から融資を得る場合や、今回のコロナ禍でも実施された個人事業主用の給付金などを申請する場合なども開業届の控えで事業を営んでいることを証明する必要があります。

    5.気合が入る

    これは気持ちの問題ではありますが、「これからは自分で稼ぐんだ」という気になります。

    独立した自覚という感じですね。

    つまり、開業届は

    • 青色申告ができることによる節税
    • 各種の証明書に使える

    ということで、個人事業主でも出しておいて損はありません。

    青色申告承認申請書と一緒に提出しておきましょう。

    法人の開業

    一方、法人のほうは、会社の種類を選んで、登記が必要となります。

    うしおうしお

    個人事業主に比べて、それなりの手続きと時間がかかりますね。

    会社の種類を選ぶ

    一般的に「会社」と呼ばれる、事業で利益を得ることを目的とした法人は営利法人です。

    現在、営利法人を設立するなら、株式会社か合同会社のどちらかになります(合名会社や合資会社もありますが、2006年の新会社法施行で株式会社の資本金要件が1円以上に緩和されたことから、設立するメリットはほぼありません)。

    株式会社と合同会社の違いは、株式会社のほうが社会的な知名度や信用度があり、合同会社のほうが手続きが簡単で経営にも自由度があることです。

    クラウド会計ソフトfreeeのサイトによれば、

    • 設立費用は合同会社は6万円、株式会社は20万円。書類の準備も合同会社のほうが少ない。
    • 経営上の事務作業も合同会社のほうがカンタン。株式会社は株主総会や決算公告の義務がある。
    • 資金調達面は、株式が発行できる株式会社が有利。合同会社は銀行などからの融資になる。
    • 経営の自由度・意思決定については、合同会社は意思決定が迅速で、利益配分も社員間で自由に決められる。反面、その際に対立が起きやすいリスクがある。株式会社はきっちりと決められているため自由度も低いがリスクも低い。

    となっています。

    もちろん、最初は合同会社でも事業規模が大きくなれば、株式会社に組織変更することもできます。

    ちなみに非営利の事業を行う場合は、非営利法人、すなわちNPO法人や一般社団法人などにすることも可能です。

    ただし非営利とはいっても「利益をあげてはならない」というわけではないので、その点は安心してください。

    登記のおおまかな流れ

    法人を設立するには、まず会社の概要(屋号や事業内容など)を決めて定款を作り、公証役場で認証してもらいます。

    次に登記申請書類を作って、法務局へ提出して登記が完了します。

    書類作成は、最近はWeb上のサービスを利用すればカンタンにできるようになっています。

    僕は会社設立freeeというサービスを使いましたが、書類作成の実作業だけなら1時間くらいしかかかってません。

    でも、実際は書類が受理されるまで待ち時間が発生しますので、会社を作るのは提出から2週間~1か月程度はかかると思っていたほうがよいでしょう。

    というのも、申請作業はすべてWeb上で完了するわけではなく、書類は公証役場や法務局に提出しに行かないといけません。

    また、書類作成の前に実印を作ったり、印鑑証明を取得したり、書類作成以外にもすべきことがあります。

    そして登記が終われば、税務署や年金事務所などに各種届を出す必要もあります。

    ちなみに、合同会社は公証役場での定款の認証が省略されるので、より法人設立がカンタンでスピーディとなります。

    それと、書類の準備は、大きく3つの方法があります。

    • すべて自分で行う
    • Webサービスなどを利用して自分で行う
    • 司法書士にお願いする

    おススメなのはWebサービスを利用することです。

    法律上有効な書類になるので、素人が自分で1から作るのは本当に大変なのです。

    Webサービスを使うことも不安という人は、専門家である司法書士に全部お任せすれば安心です。

    うしおうしお

    ちなみに司法書士への依頼にかかる費用は、以前は30万円ほどかかるとか言われていたけど、合同会社なら10万円くらいじゃないかな。

    ひよこひよこ

    でも、もしWebサービスを使ったりして自分でやってしまえば、実質手続きの費用6万だけで会社が作れるんだね。

    うしおうしお

    お金かけずにはじめたいなら、合同会社がいいかもね。
    ちなみに僕は、会社設立freeeで会社をつくりました。
    かかった費用は、収入印紙代6万円 + 実印代7千円ほどです。

    2.税金面ではどっちがお得?

    夫婦起業で借金を抱える可能性とは?

    ひよこひよこ

    税金面ではどっちがお得なの?

    うしおうしお

    それは法人のほうが断然お得だね!

    実は、法人の方が「経費」として処理できる範囲が圧倒的に広いのです。

    社宅、車のリース、接待交際費なども、ある程度は経費にできます。。

    一方、個人事業主は、旅費の一部でさえ経費にしづらいなど、税金面ではちょっと不利な面も。

    また、税金を払うといっても、個人事業主と法人ではその種類が違います。

    • 法人:法人税 + 住民税 + 事業税 + 社会保険料
    • 個人:所得税 + 住民税 + 事業税 + 社会保険
    うしおうしお

    税金として払うお金のこと考えると、事業収入が1,000万を超えてくるなら、法人のほうが節税できて明らかにお得。
    税金が少なくなれば手元に残るお金が多くなるってことだからね。

    ひよこひよこ

    じゃあ、私たちみたいに、個人事業主から法人化しようかなという場合、1,000万円がひとつの目安になるんだね。

    3.信用面ではどっちが有利?

    ひよこひよこ

    信用面は、やっぱり法人のほうが有利だよね?

    うしおうしお

    まあ、最初はどちらも微妙だけど、BtoB事業なら法人の方が信用度は高いね。

    あなたの事業の顧客、つまり取引相手が個人ではなく企業の場合、個人事業主よりも法人にしておくほうがいいでしょう。

    というのも、個人事業主だと営業に行っても、先方の取引の決済がおりなかったりすることもあるんです。

    企業相手の事業がメインだとわかっている場合は特に、最初から法人として起業したほうがいいと思います。

    また一般的にも法人の方が信頼はされやすいので、資金調達、事業の引き継ぎ、人を雇いやすいといったメリットもあります。

    ひよこひよこ

    信用といえば、資本金は1円でもいいの?

    うしおうしお

    会社設立という意味では、法律上何の問題もない。
    ただし企業との取引があるなら、やっぱり300万円くらいはないと信頼してもらえないらしいね。
    でも、実際BtoBで事業をやっている人には、100万円くらいあれば一応大丈夫と聞いているけどね。

    ひよこひよこ

    まあ資本金って、事業を回す資金がちゃんとありますよ、ってことでもあるもんね。
    大きな取引だと資本金も大事になりそうだね。

    信用はいざ事業を始めてみると、それがうまくいくかどうかにも関わる問題です。

    あなたが計画している事業内容によって、個人事業主か法人かを検討してみることも大事ですよ。

    「法人のほうがよさそうだけど、株式会社はちょっとハードルが高いな…」という場合は、前項で述べたように、合同会社にすれば設立の手間も費用もだいぶ抑えられますよね。

    4.責任はどっちが重い?

    ひよこひよこ

    責任の重さを考えると、法人のほうが重いのかな?

    うしおうしお

    社会的な責任で言えば法人の方が重いイメージだけど、実際は、法人は有限責任、個人は無限責任なんだよね。

    ひよこひよこ

    個人事業主のほうが厳しいと?

    責任というと、個人事業主より法人のほうが重いと一般的にはいわれますよね。

    やはり法人のほうが事業規模が大掛かりなので、社会的・経済的な影響力(インパクト)も大きいからですね。

    また、法人の場合は雇用することが前提だったりしますので、そういう意味では社会的な責任は重くなるでしょう。

    うしおうしお

    まあ、このあたりは経営者の責任感にもよるけど、一般的にはそうだよね。

    でも、実は法人は有限責任、個人は無限責任なんです。

    万一事業がうまくいかず多額の借り入れをしたけど返せない…という場合、法人は倒産をしてしまえばそこで終わるので返済の必要はありません。

    しかし個人事業主は、その人の責任での借金となるので、返せなければ自己破産や任意整理となります。

    なので実際は、責任は個人事業主のほうが重いんですね。

    起業の際は、「金銭的な責任は個人事業主のほうが重い」と覚えておいてください。

    事業規模を広げすぎず、堅実にやっていけば大丈夫だと思いますが…。

    起業して長くビジネスをするなら法人の方がお得

    その6:平日と休みの境目がなくなる

    ここまでのポイントを総括すると、起業したあと長くビジネスをして、もうサラリーマンには戻りたくないという場合は、法人のほうがお得だと思います。

    ひよこひよこ

    じゃあ、具体的に、「これから夫婦でインターネットビジネスで起業する」ということになった場合、どっちがいいの?

    うしおうしお

    う~ん、それなら最初は個人事業主からはじめてもいいと思うんだよね。
    法人だと後戻りできない感あるでしょ?

    最終的には法人のほうがメリットがありますが、個人事業主は何より始めるのが簡単

    最初のハードルが低いというのも、とても大事なことだと思います。

    僕らも6年かけてようやく法人化しましたが、最初は個人事業主で良かったなと思っています。

    ひよこひよこ

    ちなみに、法人で起業するときって事業内容とか決まってなくてもいいの?

    うしおうしお

    いや、事業内容はありったけ書きまくるのよ。
    あとで追加はできないから。

    ひよこひよこ

    じゃあやっぱり個人事業主のほうがいいのかな、最初はやりたいことが決まってないことが多いだろうし。

    うしおうしお

    大枠で書いておけばいいんだよ、飲食とか不動産とか。
    IT起業なら、情報通信業とか。
    あるいは事業の追加ができなくても、もうひとつ法人作るとかさ。

    法人で起業すれば、信用度や金銭的な責任などについてはメリットがあります。

    それに事業内容が正確に決まってなくても、書類を提出する時点では事業内容を書きまくっておけばいいので、その点も意外と心配いりません。

    でも始めやすさという点では、最初は個人事業主からでいいんじゃないかなと思います(事業内容が小規模で、BtoBがメインでない場合)。

    例えば、起業したての頃は個人事業主でも法人でもなかなか黒字になりにくいものですが、法人は必ず住民税がかかります。どんなに赤字でも年7万円払う必要があるんです。

    個人事業主は利益がなければ税金は払わなくてもいいので、起業初期の資金を大事に使えます。

    とはいえ、僕が個人事業主からのほうがいいんじゃないかと思うのは、繰り返しになりますが、単純に開業のしやすさです。

    株主などもいませんから、やりたいと思う事業に気軽にトライして、うまくいかなかったら調整してまたトライして…というトライ&エラーもしやすいと思います。

    そうするうちに事業の方向性などもしっかり定まってきて、売り上げも上がってきたら、改めて法人化しても遅くはないのではないでしょうか。

    うしおうしお

    僕らも最終的には法人にしましたが、最初は個人事業主でいいと思いますよ!